LinkedInのフィードアルゴリズムが大きく変わった。これまで通りのやり方で投稿を続けているBtoBマーケターは、すでにリーチの低下を体感しているはずだ。何が変わり、どう動けばいいのか。現場で使える視点から解説する。
アルゴリズム変更の本質:「拡散重視」から「関係性重視」へ
正直に言うと、LinkedInの今回の変更は小手先のチューニングではない。フィードの設計思想そのものが変わった。
以前のアルゴリズムは、エンゲージメント数(いいね・コメント・シェア)を起点に投稿を拡散させる仕組みだった。だから「いいねが多い投稿は知らない人にも届く」という構造で、バイラル的な拡散を狙うコンテンツが有利だった。
新しいアルゴリズムは、「誰がどの投稿を価値あると感じているか」という関係性と文脈を重視する。具体的には、過去のインタラクション履歴・同じ職種や業界の人々の行動・コメントの質(長さや内容の深さ)などが評価軸として強化されている。
BtoBマーケターにとって何が変わるかというと、広く薄くリーチを狙う戦略は機能しにくくなり、自社のターゲット層に深く刺さるコンテンツを継続的に出す戦略が報われやすくなった。これはむしろ、ABM(Account-Based Marketing)的な発想と相性がいい変化だ。
「目的希薄化効果」を避けろ:一投稿一メッセージの原則
ここが落とし穴で、多くの企業アカウントがやってしまっていることがある。一つの投稿の中に「製品紹介」「事例紹介」「セミナー告知」を詰め込んでしまうケースだ。
これは心理学でいう目的希薄化効果(Goal Dilution Effect)に直結する。メッセージが複数あると、読み手の認知リソースが分散し、結果としてどのCTA(Call to Action:行動喚起)にも反応しなくなる。
新アルゴリズムはコンテンツの「明確さ」をシグナルとして読む。投稿に対するコメントや反応が特定のテーマに集中しているかどうかを評価するためだ。一つのテーマに絞り込んだ投稿は、同じ課題意識を持つユーザーのフィードに優先表示されやすくなる。
日本のBtoB企業でよくある「何でも詰め込んだ会社紹介投稿」は、アルゴリズム的にも心理的にも最悪の組み合わせだ。投稿ごとに「この投稿で伝えることは一つだけ」というルールを徹底してほしい。
個人アカウントと企業ページの役割を再定義する
LinkedInの新アルゴリズムで明確になったもう一つの変化が、個人アカウントと企業ページの非対称性だ。
企業ページの投稿は、フォロワーへのリーチが依然として限定的であり、オーガニックだけで広げるには限界がある。一方で、社員個人のアカウントからの投稿は、コネクションを通じた自然な拡散が起きやすく、アルゴリズムからも「信頼性の高いコンテンツ」として扱われる傾向がある。
日本の文脈で考えると、社員のSNS発信を組織的に後押しする「エンプロイーアドボカシー(Employee Advocacy)」の仕組みが有効になる。ただ「社員に投稿してもらう」ではなく、コンテンツのひな形・テーマカレンダー・承認フローを整備した上で動かすことが前提だ。
たとえば、営業担当者が顧客との商談で出た「よくある質問」をLinkedInで発信する。マーケターはそのテーマを整理してコンテンツブリーフを渡す。この連携が、アルゴリズムにも評価されるリアルなコンテンツを生む。
エンゲージメントの「質」を上げるコメント設計
エンゲージメントの数ではなく質が問われる時代になった。いいねよりもコメント、コメントの中でも短い絵文字反応より長文の意見交換が、アルゴリズムへのポジティブシグナルになる。
これを意図的に設計することができる。投稿の末尾に「あなたの会社ではどう対処していますか?」「同じ課題を感じた方はいますか?」というオープンクエスチョンを入れることで、コメントを引き出しやすくなる。
ただ、日本のBtoB界隈では、LinkedInでの発言に対する心理的ハードルがまだ高い。匿名文化に慣れた日本のビジネスパーソンが実名プラットフォームで意見を言うには、それなりの「安心感」が必要だ。
その安心感を作るのは、投稿者自身の一貫した発信スタンスだ。毎回「正解を教える」コンテンツより「自分はこう思うが、みなさんはどうですか」という対話型のトーンの方が、日本市場では反応を引き出しやすい。これは実体験としても言える。
投稿フォーマットとタイミングの最適化
新アルゴリズムが評価するフォーマットにも傾向がある。テキスト中心の投稿(特にファーストビューで完結しない、続きを読ませる構造)・ドキュメント形式のPDFカルーセル・動画(ただし最初の3秒で引き込めるもの)が現時点で有利だ。
外部リンクを冒頭に貼る投稿は、LinkedInがユーザーを外部に誘導するとして評価を下げる傾向が続いている。ブログや事例ページへの誘導はコメント欄に記載するか、「リンクは投稿者のプロフィールから」という案内に留める方が賢い。
投稿タイミングは、火曜〜木曜の午前8時〜10時が日本のBtoB層には効きやすい。朝の通勤時間や始業前の情報収集タイムを狙う発想だ。ただし、自社のアナリティクスを見ながら2〜3週間検証する方が、一般論より正確な答えが出る。
まとめ
LinkedInのアルゴリズム変更は、コンテンツの「量と拡散」より「質と関係性」を問う方向に舵を切った。BtoBマーケターに求められるのは、ターゲットに刺さる一つのメッセージに絞り込んだ投稿設計、社員を巻き込んだ発信体制の整備、そしてコメントを引き出すコンテンツ設計だ。小さな変更を積み重ねることが、半年後の成果の差になる。
参考:https://www.socialmediaexaminer.com/how-to-adjust-your-content-for-linkedins-new-feed-algorithm/
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